再掲 胃瘻および終末期における人工的栄養投与について

胃瘻適応者への長期間の経鼻経管栄養は虐待だ

If the gut works, use it.

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5年ほど前に書いた記事を再掲します。

やはり、本件に関しては誤解が多く、周辺病院の医師ですら誤解しているものがいるようです。

一般の在宅医療を扱うような医師ではなく、病院の専門医でこのようなことを理解せず診療を行い、長期の経鼻経管栄養を患者さんに実行してしまうようなことが、この5年間にも少なからず繰り返されています。

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胃瘻造設手術を行わないという明確な意思の表出があった方に対して、経鼻経管栄養のことを持ち出し、本人の意思が確認できないからと平然と始めてしまう医師と今回もまた遭遇してしまいました。

虐待を行っていいはずがありません。これは確認をとる必要もなく、胃瘻を行わないという意志がはっきりしている方に経鼻経管栄養を行っていいはずがありません。

本件に関する理解が不十分な医療者に関しては、強い憤りを感じるとともに、業界からの退場を勧奨します。

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終末期医療の在り方として、最もカギとなることは、心肺蘇生を行うかどうかということではなく、回復不能な方に対して栄養をいかに考えるかということになります。極端な話をすれば、人工呼吸器につながっていても栄養が絶たれればいずれ亡くなります。がん等で命の最後が見えている方に無理に食べさせる必要はありませんし、栄養さえ続ければ延命となってしまうような寝たきりのかたの尊厳を考える際も、栄養を与え続けるかどうかということに最終的には話は集約されてくるのです。

当院のスタンスとしては、中庸です。それでも長生きしてほしいと思うのであれば、それが本人の意思と相反しないと思われればバックアップしますし、本人の意思を確認できているにもかかわらず誰かがそれを捻じ曲げるのであれば強固に反対します。

あくまで大切なことは本人の意思であり、それを確認できない場合は適切に推定してあげる方法を考えることです。

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