▶安いパルスオキシメータは使える?

最近、ワイドショーなどでコロナ関連の報道時に、パルスオキシメータの話がよく出てきていますので、関心のある方が多いのではないかと思います。

医療機関で使用する場合、医療機器認証番号を取得した管理医療機器(クラスII)である必要があります。これが取得できていない機器の場合、国が精度面でのお墨付きを与えていないものとなります。

先日Yahoo shoppingで1000円以下とあまりにも安いものをみかけ、興味本位で買ってみました。20年前は10万以下のものはなかったんですが…。

冬場の高齢者の訪問診療では特に困るのですが、末梢の冷えで指の血流が悪く、1月2月は特に測定困難な方がいらっしゃいます。また、脱水症やショック状態などの全身状態がとても悪い時の酸素飽和度:SpO2は、なかなか測ることができず、測定できても信用できない場合が多いです。

小型で便利な機械ではあるのですが、その運用は気を付ける必要があり、医療従事者の判断を加えた方がいいため、患者さんから聞かれた際には「買う必要ない」と答えていました。

本日は、いつもこの測定で困ることが多い方の診察がありましたので、この格安の品と普段使っている機械で比べてみました。当院で普段使っているものはもちろん医療機器認証を受けており、末梢循環の指標であるPI(purfusion index)を一緒に測定できるものです。このPIが1.1%以上で十分測定可能な血流があるという判断指標になります。

まずは格安品。なんとこの値段でPIの表示がついています。中国から国際便で届きましたので日本の医療機器認証番号は取得したものではありませんでしたが、EUと北米の認証がとれている表示が裏に入っていました。

次が当院採用品です。PIが1.1%以上でハートマークが表示され測定可能と示されます。PI値も測定値もほぼ同じです。

ついでにもう一人、診察直前に喫煙していた困ったちゃんですが、末梢循環はあまりよくなく1%台で、何とか測定できています。

とりあえず、格安品はまず間違いなく医療機器認証がとれていないものと考えられます。購入は推奨はできませんが、まちがって購入した場合も緊急避難的には使用可能かもしれません。

医療者が日常業務に使用するのはアウトです。

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