またまた年末年始のコロナの話
コロナの対応に関しては、医療崩壊を防ぐことを第一の目標に政府・専門家会議が最初から訴えかけています。これは今後も変わらないと思います。
感染者が増えると、すべて保健所に連絡がいきます。感染者の中には全くの無症状のかたもいれば、ECMOを使うぐらいの重症のかたもいます。
感染者の報告数には日ごとのばらつきがあり、医療機関の休日などはもろに反映されています。
現状は70歳未満の軽症者・無症状者は東京都の入院基準になく、中等症以上が入院。70歳以上、基礎疾患のある高リスクのかたは原則入院となっているようです。
入院患者も結構な勢いで年末年始に増えました。
でもね
東京都は29日-3日まで入院患者の対応をした病院には入院患者数に対して中等症以下7万円、重症者30万円の補助を出したんですよね。
病院は4月の緊急事態宣言以降、経営上の大打撃を受けています。正直倒産する病院がたくさん出てもおかしくないレベルです。そこにきて通常の診療報酬以外にこんなニンジンをぶら下げられてしまいました。
病院の経営にかかわる数値に、平均在院日数と病床使用率があります。医療費を削りたい政府は長期入院させないよう、平均在院日数を減らした病院の一人当たりの入院費を増やす政策を続けてきました。満床でなくても8割ぐらいであれば、在院日数を減らした方が満床で在院日数が長いより収入が良いわけです。でも、2020年は逆転してしまいました。受診抑制により医療全体がしぼんでしまっているので、短期間で退院させても空床だらけになって、収入が減ってしまうんです。
たとえ公的病院でも独立採算制の医療機関ばかりの昨今。大赤字だと困るので、頑張ってきた医療従事者のボーナスが出ないなどの報道はあったかと思います。
ここにきて、ニンジンを見てコロナ対応を増やしたくなった病院はきっとあったでしょう。
29日からの年末年始期間は、コロナの入院患者を一人でも多く対応すると、結構いい収入になったんです。
もちろん、平均在院日数を減らして一日でも早く退院してもらう努力はする必要性が小さくなります。
年末年始の入院患者数がここからどのように変化していくかも注目しましょう。5日の感染報告は全国では最大、都では過去2番目の数字で、感染拡大が急加速していると騒いでいるわけですから、ここから減るはずがありません。
正直に解釈すれば、来週の入院患者は都全体で5000人以上になるはずですから、都は急いで利用できる病床を増やす努力をするはずです。
そうならずに見捨てられた死者が入院以外で大量発生したら、これぞ医療崩壊です。
でもおそらくはそうなりません。これはただの予測ですので外れることもあるかもしれませんが、学生時代から含めるともう30年近く医療業界にいる身として、「インセンティブ」で動いた医療機関の存在を少なからず感じます。
なんとかなるし、何とかしましょう。
日本の医療はレベルが高いはずです。
来週の入院患者数は要チェックです。