85歳女性の軽度認知症で独居の方。
先週の昼間に定期訪問診療をした際、エアコンはついており涼しい風が出ていますが、寝室の2方向が窓になっている部屋でカーテンはついておらず、訪問した我々だけでなくご本人もうっすら全身に汗をかいていました。
血圧106/69mmHg、脈拍113bpm、体温36.8℃、SpO2(酸素飽和度)96%
バイタルサインは脈拍数だけが軽度の異常値ですが、この時点で熱中症の予備段階にありますので、ケアマネージャに電話連絡し、本人もその場で説得し「ショートステイなどで保護してもらいましょう」としました。
翌日、ケアマネージャから「熱もないし本人もショートステイに行きたくないといっています」と連絡あり、ショートステイも予約なしでは利用しにくい実情もあり、現場は尻込みしています。しかし、当院スタッフより熱中症のハイリスク状態であり、保護してあげる必要があることを再度説明。窓にカーテンを設置しヘルパーの訪問を増やしベッドの周辺にいつでも水分補給ができるよう飲み物を多めに置くという措置がとられました。
このかたから、AM2:30電話あり。エアコンは言われたとおりにつけているけど目が覚めたらいっぱい汗をかいていて、体に力が入らないの!と
電話で話をしている感じは前回診察と大きく変わらず、意識はしっかりしているので、緊急性が高いとはいえません。脳梗塞などの脱力もあるかもしれませんが、なかなか深夜に自分で医療機関に電話が掛けられる状況は考えられません。
このかた独居ですが24時間の訪問看護の契約があり、自分で玄関を開けられなくてもキーBOXが設置されています。とりあえず訪問看護に様子を見に行ってもらいバイタルの報告をしてもらいました。
血圧90/50mmHg、脈拍120bpm、体温37.7℃
なんとエアコンは
暖房!
とりあえずこの場はクーリングと水分補給を行ってもらいましたが、朝まで放置なら38度以上に体温が上がって完全な熱中症になっていたと思います。
いろんな要因が重なっての出来事ではありますが、熱中症の高リスク状態は、
とりあえず保護する。
ことが重要です。