▶濃厚接触者の定義

濃厚接触者の定義(国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的
疫学調査実施要領」より抜粋」
「濃厚接触者」とは、「患者(確定例)」(「無症状病原体保有者」を含む)の感染可能
期間において当該患者が入院、宿泊療養又は自宅療養を開始するまでに接触した者のう
ち、次の範囲に該当する者である。
・ 患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
・ 適切な感染防護なしに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
・ 患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
・ その他:手で触れることの出来る距離(目安として 1 メートル)で、必要な感染予防策
なしで、「患者(確定例)」と 15 分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等
個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)

さて、本日東京都福祉保健局より依頼のメールが届いておりました。ご存知の方も多いかと思いますが、現在新型コロナウィルスの感染拡大により積極的疫学調査が中断されております。濃厚接触者に該当する方には医師の判断でPCR検査等を行ってくださいということのようです。

濃厚接触者と認定されると、PCR陰性の場合14日間、陽性の場合は10日間の自宅隔離を申し付ける必要があります。陽性者はそのあと保健所へ発生届を提出し、公的な支援の対象となりますので健康観察などが実施されますが、陰性者は「陰性ですが濃厚接触者ですので、14日間外出しないでください。」という必要があります。陰性結果をもらうのはうれしいですが、隔離期間はなんと陰性の方が長いのです。この間外出禁止となると食料調達など困るのですが、区市町村の支援は陽性者優先です。

陰性者の方が長い理由が「まだ陽性になっていないだけかもしれないから」なので、なんとかご理解はいただけるのではないかと思いますが、この行動制限に対して医師が告げるというのはなんとなく気が引けます。

健康保険を使って医療を行う場合、医師には「療養担当規則」というものにのっとった対応を求められています。本来無症状の方に行う健康診断は保険診療の対象外であり、症状などの異常があってその解決のために行った医療行為に対してのみ健康保険が使えるのですが、「医師の判断により必要と思われるもの」に対してのPCR検査は公費での検査が認められています。

発熱や咳などの症状がある方への診察で地域の流行状況から検査が必要と考えることは容易です。

同居の家族が発症したのでというのも許容範囲でしょうが、これまではインフルエンザなどの場合は無症状では予防的対応となり全額自費となっていました。

COCOAで通知された。・・・濃厚接触者には当たらないと思われ、保険診療外かと

総合的に考えて、やはり無症状の方に検査を行うことは理にかなっていると言えませんが、ワクチン接種後でも感染するデルタ株は無症状のまま伝染させてしまうおそれもあり、やはり濃厚接触者にあたれば検査対象となるのではないかと思います。これまで有症状の方にしか検査を提供しておりませんでしたが、対応を再検討する必要がありそうです。

でもやっぱり、積極的疫学調査は保健所の仕事でしょうね。無症状かつ検査も陰性なのに、陽性者より長い行動制限を宣言するなんて、臨床の立場としてはつらいです。

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