作者別: 院長

松永宏明 内科医 超音波専門医 1974年鹿児島県生まれ 1999年自治医科大学卒業

経過の予測

上記の図は、終末期の医療の説明によく使われます。全くこの通りになるわけではなく、患者さんの経過の予測にはさまざまな要素が絡みますが、大まかにこのような予測は当てはまります。

がん患者さんは、ある変曲点を迎えると、死へ向かう過程は他の疾患に比べて予測しやすいです。

対して、心不全などでは治療に反応してくれれば復活が見込めますが、急性増悪を繰り返しながら徐々に生活機能も落ちていき、いずれ臓器がもたなくなってしまいます。治療に反応するかはやってみないとわからず、在宅医療で検査も十分でなければ本当に諦めるべきかの線引が非常に難しくなります。

老衰の経過は長く、口から食べられなくなったあとも胃瘻などで栄養を与え続けると、生活機能が大きく障害されていても年単位の経過を示す場合があります。逆に、その経過を説明して、いたずらに胃瘻などで延命しないことを選択することが可能であり、医療者と本人、家族のコミュニケーションが非常に重要となります。

3つのモデルの中では臓器不全モデルが最も難易度が高く、当院の在宅医療での看取りも数%程度です。すべて救急車で病院で対応してもらう医師がいてもおかしくはありませんが、当院ではご本人の意思しだいで、緩和の薬剤を駆使して対応させていただくケースもあります。医療者側も本当にこれで良かったかと振り返り反省することが多いケースでもあります。

上記の経過は、多くの方に理解をしていただきたいものです。また、どういう選択をするにしても個人の意思が最大限に尊重されるべきものと考えます。

生活必需品と贅沢品

房総半島では、台風15号の影響による停電が長期化しています。15年ほど前、現在よりまだIT機器への依存度が高くなかったころ、離島での勤務中に約3日間の停電にあったことがあります。離島なんでそんなこともあるとあきらめがつきますが、それでも長期間の停電はとても不便でした。停電による不便もさることながら、熱中症での死者も出るなど、二次的な被害の拡大が心配です。一刻も早い復旧を願います。

電気のような生活に切っても切れないライフラインの途絶は、上記のように生活弱者の命を脅かすこともあり、とても重要な問題です。我々のような小さな医療機関も、医師会レベルで協力して災害時の対応などを定期的に確認しています。また、当院では在宅酸素や人工呼吸器といった生命維持に不可欠な機械を自宅で利用している方もいらっしゃるため、発電機を在庫しており必要時に貸し出す体制をとっています。

災害時の長期間の停電以外でも、雷や事故等で一時的に短時間停電や断水が起きることがあります。一般市民にとっては不便であり、このような時クレームを出す方もいらっしゃいます。消防車や救急車と同じように、ガス会社も緊急自動車をサイレンを鳴らしながら走らせることが認められており、社会全体がライフラインの途絶に関しては神経をとがらせた対応を行っています。

救急医療も同じように、社会全体にとってなくてはならない(ないと困る)ものです。でも、タクシー代をケチり救急車を読んでしまうことは必需品と呼んではならず避難されるべき行為であることは理解されると思います。

当院が主に提供している在宅医療について、この文章をお読みになった方は、生活必需品と感じられるでしょうか?それとも贅沢品と感じられるでしょうか?

病院まで介護タクシーを頼む必要がなく、待合室で待つ必要もなく、家で待っていれば医療関係者が家にやってきてくれます。外来診療で月1回の受診であれば、保険者負担分、自己負担分、移動経費、薬剤費など合わせると全部で2万円ぐらいかかるのに対して、在宅医療にすると8万円ぐらいかもしれません。しかし、自己負担だけでみると、1割負担の高齢者では移動経費を含めた負担額は外来通院と月2回の訪問診療ではほとんど変わらなくなる場合が多いです。

その上で病状が変われば家にいながら電話等で主治医に相談ができ、調子が悪くても家でそのまま診察を受けられます。

世の中には在宅(zaitaku)医療は贅沢(zeitaku)医療だと言う方もいらっしゃいます。

ある高所得者で会社の社長を続けながら癌の在宅療養をされていた方は、全額自費負担の医療に生きるのぞみをつなぐため保険適応の在宅医療と訪問看護を節約されました。こういう方は普通に在宅医療・看護を受けると、月の自己負担が15万円を超えてしまったりするため、年金生活者(低所得者の医療費自己負担の上限8000円)に対してかんたんには訪問診療を受けることができません。

対して、上記の通りお金がないからという理由で在宅医療を選ばれる方もいます。そういう方も、介護保険の利用を極力抑えて介護を受けることを我慢していたりします。

このように、収入の状況などによって、お金をかけても通院の手間を減らしたい理由の方(贅沢)と、日常の費用を極力抑える目的(節約)で選ぶ方、単に病院に行くのが嫌、などなど患者さんの受診動機も様々です。(注:要介護状態で通院が困難なかたしか訪問診療は受けられません

本来であれば自宅で安心して暮らしていくための制度、ライフラインの一部、医療インフラとしての在宅医療であるべきです。将来、生活必需品としての在宅医療の提供がすべての要介護者の選択肢になる日が来るべきと当院は考えています。

求人

当法人では、24時間365日体制の在宅医療を確実に提供するために、継続的に体制強化を図っています。

生活・尊厳・信頼の3つの理念のもと、強固なチームとしてサービスの提供を行う必要があります。

在宅医療のチーム作りに興味があり、持続可能な体制を実践するためにご協力いただける方は、奮ってご応募ください。

諸条件に関しましては、個別対応させていただきます。

国立市基本健康診査受付中

7月から9月生まれの方の健診チケットは9月まで利用できます。

9月もまだ健診枠の空きがあります。余裕をもって受診ください。

なお、健診枠は9月から火曜日と木曜日に変更とさせていただきました。予約外はお受けしておりませんのでご了承ください。

暑さが戻ります。

数日は涼しい日が続きましたが、今日から暑さが戻ってくるようです。

少しでも涼しく過ごせるように、8月から晴れの日のみクリニック前にミストシャワーを設置しています。

在宅医療連合学会大会

 明日から、新宿の京王プラザホテルで開催されます。医師だけでなく様々な職種が参加する学術集会です。

 そもそも医学は自然科学ですが、医療という分野は、前自治医科大学学長・日本医学会会頭の高久文麿先生の言葉を借りると”art and science”です。

 学術論文などは科学的な根拠・論拠が求められますが、学術集会レベルでは各人が言いたいことを言い合うようなところがあります。ほかの分野の学術集会の人たちから見ると、やや異質に映るかもしれません。

 医療系のweb siteでも、きちんと結論が出ていない事柄に対して、あたかも正しいような記述をして、製品を売るよう誘導しているものも見受けられます。

 この10年ほどは、学術集会の発表でもCOI(利益相反)の宣言を入れるようになっており、以前ほど眉唾物の発表は少なくなった印象ですが、資格取得のためのポイント稼ぎのような発表も少なくはありません。

 在宅医療の分野は病院医療ほどデータを豊富に取得することはできず、どの程度科学的に発表できるものか、少し覗いてきたいと思います。

 在宅の電話待ちをしながらもちょっと学会にも出られるのは東京で開業した強みと思います。

夏風邪に注意

 7月に入ってから、気温の低い日が続いています。日中は過ごしやすくていいですが、夜は肌寒く、うっかり寝冷えなど起こすことも。

 幼児・学童では手足口病が出ているようですね。特別な治療はしない病気ですが、集団生活の中では感染が広がりやすく、東日本大震災の避難所で大流行したことが思い出されます。

 

 当院は朝8時から内科診療を行っています。小児も受診可能です。国立市では一番早くあいてますが、認知度が高くありませんので待ち時間は短くなっています。9時以降は往診に出ている場合もありますが、周辺の医療機関が対応可能となりますので、診療時間等ご確認の上受診をお願いします。

傷の処置は誰がやる?

毎日やる前提で、365日あいているクリニックはあまりなく、必然的に医師以外に処置をする人が必要です。

健康な人は主に自分で、子供なら親がと、指導をしたらやれそうです。

褥瘡は?

訪問看護は特別指示で最大で月に28日は看護師の訪問ができますが、土日問わず引き受けてくれる訪問看護ステーションが必要です。しかしいきなり土日対応をお願いしてOKが取れるわけではありません。ヘルパーも見つからないこともあり、さらにヘルパーの業務として行うかは事業所次第です。

家族ができれば問題ないのですが、ひどい床ずれを作ってしまう方は、家族の介護協力が難しい場合が多いです。

入院すると外科や皮膚科がみたりします。しかし、残念ながら消毒薬や軟膏などの治癒を阻害するものを使われてしまい、治るものも治らなくなることが多く、残念な結果になることが多いです。

褥瘡の治療は悩みが多いです。

 

時間があるときに、当院での褥瘡治療の実例を写真付きで紹介できればと思います。

湿潤療法とラップ療法の違い

この2つ、始まったのが形成外科と内科の違いがあり、発展した経緯がそもそも違うのですが、傷が治る過程を科学的に検討していった結果、真実はひとつだったというお話です。

2002年に僻地の診療所長として赴任した際、ひどい褥瘡を治療してほしいという患者さんはいませんでしたが、外来には普通にケガの治療に来る人たちがいました。その頃が一番ケガの人を見ていて、夏井先生の本を買って実践してみると、研修で習った治療より明らかに治りが早く痛くなく、傷も綺麗なのでその後は我が子の擦り傷などで使う程度でした。

夏井理論は2002年ごろ実践済みでしたが、鳥谷部理論は悪条件下の試行錯誤がさらに必要で、数年でバージョンアップし続けてきており、2006年ごろから両先生の交流が始まりさらに良くなっていることが確認できました。

褥瘡と火傷では使うものが違います

褥瘡は吸収体(ペットシーツなど)で乾きすぎないくっつかないようにする。浸出液の処理が最重要で、感染兆候があれば抗生剤の全身投与が必要。吸収体、表面材に必要時抗生剤内服。

傷は異物(カサブタ含む)除去、出血と感染のコントロール、顔はハイドロコロイド、それ以外はプラスモイストで、毎日水道水で洗浄し貼り替える。

汚れたら洗って取り替え、最低一日1回、何度でも可。石鹸、消毒液などの化学物質は使用しないこと。

ちなみに女性の肌に化粧品は大敵だそうです。

市販のハイドロコロイドで有名なキズパワーパッドに、数日貼りっぱなしとかいてありますが、やめましょう。さらに薄くて安いハイドロコロイドがズイコウメディカルからででますので、もったいないことはなくどんどん貼り替えましょう。

湿潤療法は けがとやけど

ラップ療法は 褥瘡

お間違えなく

土曜診療

7月より土曜診療を開始しました。

まだ、周知が進んでいないので、完全予約制ながら予約は1件のみです。要介護の方の家族が相談のためにいらっしゃいます。

外来終了後は訪問1件で本日の予定は終了になりますが、午後は日本橋で湿潤療法の勉強会に出席してきます。

褥瘡のラップ療法の鳥谷部先生と、湿潤療法を広めた夏井先生が二人ともいらっしゃる「知る人ぞ知るすごい二人」のお話が聞けるので、楽しみです。

私(院長)は、2002年から夏井先生の本を買って勉強し、ことあるごとにこの本をほかの人たちにプレゼントしてきました。

まさに創傷治療のパラダイムシフトを成し遂げたお二人に会えるのが楽しみです。